消費税の総額表示にともなう、負担軽減のため、平成26年4月1日以後に行う取引から、消費税の積み上げ計算の特例が復活しています。小売業界とくにコンビニ業界においては、この特例を使うかどうかで実際に納める消費税額が大きく変わってきます。
原則は、税込金額の合計額を1.08で割り千円未満の端数を切り捨てたものが課税標準額となります。
この原則に対し二つの経過措置が設けられています。
経過措置1は、税込金額を前提とした代金決済を行う場合で、例えば、複数の商品を一括して販売し、その代金を一括して受領する場合には、税込価格の合計額に 8/108を掛けて算出した金額の一円未満の端数を処理した後の金額を領収書等に明示した場合には、当分の間その端数処理した後の消費税額等相当額を基礎として課税標準額に対する消費税額を計算することができます。コンビニなどで採用され、レシートごとに端数処理を行いますが、商品単品ごと端数処理はできません。
経過措置2は、税抜価格を基に計算するレジシステム等を使用せざるを得ない場合等のやむを得ない事情により、税込価格を基礎とした代金決済ができない場合には、端数処理した後の消費税額等相当額を基礎として課税標準額に対する消費税額を計算することができます。一部のスーパーなどで1点では100円なのに、3点買うと301円となることがありますがこういった事情があります。
経過措置1 経過措置2
コーヒー @100×3 300円 コーヒー @93×3 279円
合計 300円 消費税額等 22円
(うち消費税 22円) 合計 301円
単純に税込100円(本体93円消費税額等7円)のコーヒーを3個ずつ1万回販売した場合は次のようになります。
原則 経過措置1 経過措置2
領収金額 3,000,000円 3,000,000円 3,010,000円
課税標準額 2,777,000円 2,780,000円 2,790,000円
消費税額等 222,160円 220,000円 220,000円
なお、この特例を適用する場合、消費税申告書において、参考事項、課税標準額に対する消費税額の計算の特例の適用の有無にチェックを入れます。
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